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G-SHOCK 、30年前の「MR-G」を復活させて愛でる

今から約30年前の1997年4月に発売された、G-SHOCK「MR-G」の3針アナログ表示モデルの不動品と稼働...

otar3
Oct 17, 20261 min read

今から約30年前の1997年4月に発売された、G-SHOCK「MR-G」の3針アナログ表示モデルの不動品と稼働品の2本をフリマサイトで入手し、ニコイチにして“理想の1本”を作ってみました。

耐衝撃性能をフルメタルボディで実現することに挑戦したG-SHOCKの「MR-G」(エムアールジー)シリーズは、1996年に初号機「MRG-100」が発売され、2026年で30周年を迎えています。

「MR-G」の名前を付けた「MRG-1」というモデルが直前に発売されていたようですが、フルメタルではなく、カシオが語る「MR-G」の正史にも組み込まれていないので、ここでは割愛します。

あるイベントで最初期のモデルを見る機会があったのですが、現在のモデルにはないシンプルさや、メタルボディで耐衝撃構造を初めて実現した、その苦労を滲ませる形状、手作り感のある牧歌的な雰囲気にどこか惹かれるものを感じ、それ以来ずっと気になっていました。

「MR-G」の初号機「MRG-100」

ターゲットは、ダイヤルがダークブルーで分針がイエローの「MRG-120-2A」です。「MRG-120」シリーズはチタンとステンレススチールの2種類の素材で展開されましたが、ブルーはステンレススチール製モデルにしか設定されていないカラーです。

「MRG-120-SA」(公式の製品写真)。型番の後ろの「2」はカシオでブルーを表す番号です

初代「MRG-100」の登場から半年後に発売された「MRG-120」は、初代「MRG-100」のデザインを踏襲しながら、「MR-G」で初めて3針のアナログ表示を採用したモデルです。日付表示も省いた、潔くシンプルなこの“3針ノンデイト”仕様が続いたのは、データベースサイトなどで確認できる限り、後継モデルの「MRG-121」と「MRG-122」の一部までのようです。“MR-Gの3針ノンデイト”は、90年代末期のこれら最初期モデルにしか存在しない、今では失われているスタイルというわけです。

中古品の来歴を想像する

「MRG-120」が気になってから、フリマサイトを探していたのですが、「外装はかなり綺麗だがムーブメントは故障している」という個体が8,000円弱で出品されていたので、外装だけ活かそうと思って購入しました。

その後、「外装はふつう、ムーブメントはちゃんと動いている」という個体も14,000円弱で購入しました。ほかには、Amazonで裏蓋用のパッキン(6個入り)を750円で買いました。合計は22,000円程度になりましたが、これは、いろいろ探している時に出てくる「外装はそこそこ綺麗でちゃんと動いている個体」1本の価格とだいたい同じ水準です。

入手した綺麗な方の外装の程度は、(それなりに使い込まれていることが多い)ムーブメント稼働品の個体ではほぼ望めないレベルの綺麗さだったので、今回のニコイチ改修が成功すれば、「22,000円ぐらいではなかなか入手できないレベルだぞ」ということになる……と自分を納得させています(笑)。ただの趣味ですし、分解していじることも楽しいので、厳密にオトクかどうかはそれほど気にしていないのですが。

不動品の商品説明では、故障について「電池を交換したが動かなかった(というメモが残されていた)」と書かれていました。裏蓋には、溝から始まるド派手な傷が付いており、だいたいの事情が察せられました。これは、裏蓋オープナーを正しく使えない技術レベルだったか、別の工具で代用しようとして失敗し、付いた傷です。保持器を使っていないことも想像され、十中八九、素人の作業でしょう。市井の時計修理店では考えられないレベルです。

えらそうなことを書いていますが私も素人です。

裏蓋には、開閉オープナー用の溝から始まるド派手な傷が付いていました

ただ、メーカーのサポートや修理受付はとっくに終了しているため、電池切れの個体を持ち出してきた持ち主や譲り受けた人が「自分でやってみるか」と思い立つのは、理解できる行動です。

以下は自己責任で行なう作業です。

裏蓋を開けると、経年劣化で防水パッキンが切れていました。パッキンは新品に交換するので問題ありませんが、長期間交換されていないサインです。裏蓋(の内側)に残されたサインを見る限り、電池交換は2000年の1回のみのようで、その次のタイミングの電池交換作業で故障させたのでしょう。

電池の上に被さる(間にはスポンジが挟まります)金属製の防磁パネル(?)には指紋がいくつも残っているなど、前回の作業者のレベルの低さが窺える形跡がいくつもありました。

ケースやブレスレットのコマの擦り傷は最小限度で、水が残りやすい裏蓋のパッキン付近に錆がないことから、理由はともかく、どの時代においてもあまり使われなかった個体と推測できます。

黒いパッキンは、リューズ付近で切れていました。金属カバーに指紋も多く、素人作業だったことが窺えます

このムーブメントの故障の直接的な原因は、コイルの損傷です。何本も断線している様子が確認できました。商品説明から推測するに、電池交換の際に傷つけたと思われます。

クオーツムーブメントのコイルには髪の毛よりも細い極細の銅線が巻き付けられているのですが、工具などで触れる程度で簡単に断線してしまいます。1本でも切れるとムーブメントとしては故障してしまうので、コイルが露出している間は、硬いものが触れないよう慎重に作業しなければいけません。

「MRG-120」のムーブメントは、電池を外すとその下(4時位置の裏側)に、剥き出しのコイルが表れる構造です。時計店のブログなどによると、「MRG-120」は、素人が細いドライバーなどで電池をほじって外そうとし、勢い余ってその下のコイルを傷つけてしまうというケースが多いそうです。

かなり損傷・断線しているコイル。こうなっていては時計部分は動きません。右側のスポンジにも液体が染み込んでいます

また、丸いスポンジ(かつてこのムーブメントに別タイプの電池を乗せていた名残りらしい)に謎の液体が染み込んでおり、電池の液漏れとそれに伴う故障も疑われる状況でした。もっとも、コイルが損傷している時点でもう打つ手はないのですが……。

付いていた電池はテスターでチェックすると電圧がゼロで、完全に放電していました。新品の電池を入れてみると、勝手にELバックライトが点灯しっぱなしになり、針はまったく動きませんでした。当初は「電池を交換したら動き出すのでは?」という淡い期待もありましたが、商品説明通りちゃんと故障していました。

ニコイチ改修

ムーブメントが稼働品の個体は、逆に裏蓋のパッキン付近に少し錆が出ているなど、それなりに使われた形跡がありました。一方で、メンテナンスはそれなりにされていたようで、裏蓋には電池交換などメンテナンス時のサインが複数残されていましたし、パッキンもちゃんと交換されていたらしくシリコンが残っていてツヤがある状態でした。

もちろんムーブメントは綺麗です。コイルは断線のない本来の状態で、スポンジに変な液体の染みもありません。

電池は消耗していましたが、針が動いている状態だったので、長めに見積もっても4年以内に電池交換が行われていたことになるでしょう。使用感のある個体のほうがえてしてコンディションが良いというのは、中古品ではよくあることです。付いていた電池は新品に交換しました。これは後述のELバックライトの話でも触れています。

「MRG-120」の電池寿命は、ELバックライトを1日1秒点灯した場合で3年、1日3秒で2年となっています。(Claudeの計算によると)まったく点灯しなかった場合の電池寿命は4年程度になるようです。

ムーブメントを外すには、リューズ(とそれにくっついた巻芯)を外す必要があります。「PUSH」と記された穴にある「巻芯抑え」パーツを細い工具で押せば、リューズをスルっと引き抜けます。

パッキンは電池交換時に新品に交換するのが定石なので、元から付いていたパッキンやそれがはまる溝を計測して、太さ1mm、内径31mmのものを買いました。パッキンが収まる溝は、実測で内径が31.14mmとかになっており、31mmでは溝にピタっと収まらず、ごくわずかに浮く場所が出てくるのですが、パッキンを指で広げて、本当にすこしだけ伸ばしてやったら、いい具合にフィットしました。

稼働品のムーブメント。コイルは断線のない本来の状態で、スポンジに変な液体の染みもありません 「PUSH」の先のパーツを押すとリューズを引き抜けます 左が付いていたパッキン、右が新しく用意したパッキン

外装が綺麗な個体から故障したムーブメントを外し、風防はカメラレンズのクリーニング剤で綺麗にしました。慎重にホコリもはらいます。稼働品のムーブメントは、ダイヤルからホコリをはらって、綺麗なほうのケースへ収めます。緩衝材パーツなどを戻し、新品の電池を装着、シリコン塗布器でシリコンを塗布したパッキンを溝にはめて、裏蓋をキッチリ閉めれば、移植が完了です。防水テストなどはできないので、防水性能は担保されず、あくまで自己修理の範囲です。

稼働品ムーブメントをきれいな外装に収め、シリコンを塗布したパッキンを装着 綺麗な外装(左)に稼働品のムーブメントが収まり、ニコイチが完成しました

ちょっと心配していた精度については、2~3日で1秒進む程度で、製品仕様である平均月差±20秒の精度の範囲内に収まっています。

最初期の「MR-G」の裏蓋には外周にカバーが付いているのですが、汗や経年劣化によりすこし膨らむようで、2つの個体のカバーはどちらも、簡単に外れはしないものの、スコスコと動いてしまう状態でした。グレーの色も微妙に変色していてパッとしないので、このカバーは外して、使わないことにしました。

このカバー、「耐衝撃をフルメタルで実現」というコンセプトから考えると、衝撃吸収用のパーツとは考えたくないところですが、それまでの樹脂製ケースの「G-SHOCK」は、バンドの付け根の角度を固定して裏蓋への直接的な衝撃を防ぐ設計だったこともあり、それができないフルメタルの「MR-G」で代わりに導入されたプロテクター、ということのようです。

一方、「汗で滑らないようにするため付けられた」という解釈もあるようです。腕時計を正しくフィットさせて着用していると、むしろ汗で裏蓋が吸い付いて滑らなくなると思いますが……後述の「左リューズ」のくだりでも触れていますが、1997年当時の着用スタイルは開発陣にとって「ルーズフィット」が前提だったのかもしれません。

裏蓋外周に付くカバーは使わないことにしました

シンプルなベゼル

「MRG-120」は、ベゼルに一切の刻印がないなど、シンプルさが際立っています。これには、ストップウォッチの操作といった機能ボタンがないことも影響しているでしょう(ELバックライトの点灯ボタンはありますが)。

当時も今も、目立つ場所に「G-SHOCK」「PROTECTION」などの刻印が入るのが常です。つい最近になってやっと、あえてそうした表記を排した“ミニマル”を謳うシリーズ(GST-B1000など)が登場していますが、30年前にそうしたデザインを、最初期モデルならではの試行錯誤の結果として先取りしてしまっているのが「MRG-120」の興味深いところだと思います。

幅広めの真円形のベゼルは内側の斜面がポリッシュ仕上げになっていて、時計全体はほとんどがマット/ヘアライン仕上げのこの腕時計の中にあって、キラリと光るアクセントになっています。さらにその内側にあるインデックス(12個の指標)もポリッシュ仕上げになっていて、ベゼルに沿って“ドーナツ状にキラリとするゾーンが存在している”という、メリハリの効いた配置になっています。

比較的目立つのは4カ所のビスです。今ならこんな飾り気のないプラスネジは使わないでしょうが(笑)、別体パーツになっているベゼルを固定している重要なネジで、雰囲気で付けられているわけではありません。この別体パーツのベゼルと内部の緩衝材が、正面からの衝撃吸収のキモになっているからです。「MR-G」ではその後も多くのモデルが、この4カ所のビスを装備していて、現在まで続くデザイン上のアイデンティティにもなっています。

ダイヤル上の針やインデックスのデザインもやはり、当時におけるカッコいいデザインの追求よりも、耐久性や実用性を念頭にデザインされているように感じられます。このモデルはフルメタルで耐衝撃に挑戦した「MR-G」において、初めて針を使うモデルですから、余計なことをする余裕がなかったのかもしれません。

ベゼルに一切の刻印がないなど、シンプルさが際立っています

ブレスレット、刻印の謎

ブレスレットのコマのデザインも初代「MRG-100」と同じで、外連味を排した、シンプルで普遍性を感じさせるデザインです。

このブレスレットの上下1コマ目には「G-SHOCK」「MR-G」と控えめに刻印があります。スミが入っているバージョンとないバージョンがあるようで、その2種類が手元にあるのですが、詳細は謎です。私が使う方にした外装はスミありバージョンで、バックルの刻印にもスミが入っています。ちなみに超音波洗浄器に長時間かけると剥がれるので注意してください。私はバックルの刻印のスミが綺麗になくなりました(笑)。

広報用の製品写真はどれもスミなしバージョンですが、フリマサイトなどをみていると、私が入手したようなスミありバージョンがまれに存在しています(たいていはけっこう色が剥げていますが)。時期によってスミありバージョンを製造していたということでしょうか。

コマの刻印にスミが入っているバージョンとないバージョンがあるようです

針にまつわる“初”がたくさん

「MRG-120」は「MR-G」で3番目にして初の針を搭載、そしてG-SHOCK初の「3針」を搭載するアナログ表示モデルということもあり(秒針がない「2針」はありました)、「初めて」がかなり盛り込まれています。そうしたことも、デザインでは冒険せず、堅実路線をとった一因のように思えます。

時分針は実用的なペンシル針のシルエットで、控えめに中抜きされたスケルトン針です。重量を少しでも減らし、耐衝撃性能を高めるためかもしれません。針の先端がわずかにカットされた形なのですが、これは強い衝撃を受けた際、針の先端がダイヤルを傷つけないための工夫だとか。衝撃で外れないよう苦労したであろう秒針は、大きなパーツで固定されています。

時分針の先端側には蓄光塗料が塗られていますが、約30年前の製品ですから現在はあまり明るく光らず、往時の実用性は分かりません。秒針の半分以上は白いですが、蓄光塗料ではないようです。

「MRG-120-2A」のダイヤル部分

堅実なダイヤルとELバックライト

インデックスはバー型を基本に、3・6・9・12時にペンシル型を配置し、12時はさらに中央を分割して目立たせています。3・6・9時は中央を抜いたスケルトンで目につきやすく、時分針のスケルトンデザインとの共通性も感じさせます。インデックスはペタっとしていて、豪華に見える立体構造ではありませんが、綺麗なポリッシュ仕上げでキラリと輝くので、薄暗い場所でも視認性は優れています。一方、針はいずれもマット仕上げで、対比になっているといえます。

こうして見ていると、耐衝撃性能を考慮しつつ、視認性も確保しながら、腕時計の王道的なデザインを捨てていないデザインになっていることが分かります。

ユニークなメッシュのダイヤルも独特の雰囲気があって、気に入っているポイントです。このダイヤルは2層構造で、表側は細かな穴が規則的に空いたメッシュデザインになっており、独特な雰囲気につながっています。その裏には淡くブルーに光るELバックライトが搭載されており、8時位置にあるボタンで点灯させるとダイヤル全体がボワっと光り、針やインデックスがシルエットになって見えるという仕掛けです。ELバックライトの電力消費は小さくないので、可能なら使用は避けたい機能ではありますが。

もっとも、真っ暗闇でもない限りバックライトは必要なさそうではあります。例えば暗めの夜道では、ポリッシュ仕上げのインデックスは光の映り込みや反射に頼る形になるため、暗く沈みがちで見えづらくなりますが、一方の黄色の分針と灰色の時針ははかなり視認性が良いため、だいたいの時刻は把握できます。

ちなみにこのELバックライト、電池が消耗している(電圧が下がっている)状態で点灯させると、押している間だけ秒針が止まってしまう症状が出ます(そのぶん時刻が遅れます)。ELバックライトはかなり高い電圧が必要なためでしょう。

電圧が低下した状況下で「ライトはなんとか点灯するが、時計は一時停止してしまう」という挙動は、G-SHOCKやMR-Gの“タフ”な世界観と相容れないですが、ムーブメントが汎用品がための仕様か挙動でしょう。電池の電圧が正常範囲であればこの症状は出ません。電池交換時期のサインとしては使えそうです(笑)。

左リューズ

針を直接操作するリューズ自体も、3針のモデルがそれまでなかったためか、G-SHOCKとして初めての搭載だったとのことです。ムーブメント自体は汎用的なものなので、見方を変えれば、この時になって初めて普通の腕時計の仕様を踏襲したとも言えます。リューズを引き出すと秒針が止まるハック機能が備わっており、リューズを回転させると分針が動いて時刻を合わせられます。

面白いのは、リューズと巻芯をムーブメントから引き抜いた時に分かったのですが、巻芯が根元からフラフラと動くということです。これは想像ですが、巻芯が折れたり歯車の破損を防いだりする、衝撃を吸収する機構ではないかと思います。リューズの頭が樹脂パーツになっているのも、ムーブメント内部に衝撃が伝わるのを少しでも和らげようという考えかもしれません。

巻芯はリューズにガッチリと固定されておらず、フラフラと動く仕様です

「MRG-120」にはダイバーズウォッチばりのしっかりとしたリューズガードが設けられていて、さらには、リューズを左側に配置するというデザインになっています。パッと見では気づきにくいですが、腕時計好きが見ると「おや?」となるポイントです。

左リューズは一般的に、実用面であえて左側にしている場合と、稀ですが左利き(≒右手に腕時計を装着する人)向けの“レフティー仕様”である場合があります。前者は一部のミリタリーウォッチやダイバーズウォッチなどに存在し、リューズの破損・誤操作を防ぐためや、作戦行動中に紐などが絡まないようにするため、というものです。

では「MRG-120」はというと、リューズガードが立派だったためか、当時の雑誌では「手の甲に干渉するのを防いで装着感を高めるため」と紹介されています。

「腕時計は好きだけど、リューズが手の甲に当たって痛い」という声は昔からそれなりに耳にしますが、これは「正しい位置に着けていない」「ルーズに着けている」のどちらかで、基本的に使う人側の問題です。試しに「MRG-120」の左右を逆にして着けてみても、正しい位置ならリューズは手の甲に当たりません。

左右を逆にして着けてみても、正しい位置・正しいフィットならリューズは手の甲に当たりません

もっとも、前述のように「汗で滑らないように裏蓋にカバーを付けた」という話が本当だとすると、開発陣はルーズフィットで着用することを(当時の当たり前として)前提にしていた可能性はあり、左リューズはそこから生まれた配慮かもしれません。結局、左リューズは「MR-G」でもやがて採用されなくなったので(というよりほとんどの腕時計で問題視されていないので)、最初期モデルならではの試行錯誤の結果といえそうです。

ちなみに腕時計の正しい位置とは、尺骨の端のふくらみにひっかかるポジションです。手首の関節の真上に乗せるポジションは、正しくありません(あえてルーズフィットにしている場合はともかく)。これはセンサーの肌への密着が重要なスマートウォッチなどでも共通なので、着ける場所がしっくりこないという人は意識してみてはいかがでしょうか。

厚い、けど普通に使える

ケースのサイズ、ダイヤルのサイズ、ベゼルの幅といった、腕時計の印象を決定づける要素もちゃんと(?)バランスが取れていて、フラットな写りのせいで野暮ったいバランスに思えた製品写真のイメージからすると、至極まっとうな、腕時計として良好なバランスを持ったデザインに見えます。

ケース径は実測で約42mm(4時-10時の対角線)と、最近の大半の「MR-G」と比べればかなり小型で、現代の一般的な腕時計のサイズに近いですね。最近の派手な印象の「MR-G」とは異なり、ケースサイズの面では普通の腕時計として使えます。

その厚みも考慮すると、近い雰囲気なのはダイバーズウォッチでしょうか。ちょっとダイヤルが小径なダイバーズウォッチ、ぐらいの感覚です。

当初の「MR-G」には「大人向け」というコンセプトもあったとのことですから、3針というおあつらえむきの要素を与えられた「MRG-120」には、(厚さはともかく)「大人が普通に使える」というテーマが特に色濃く反映されたのではないかと想像できます。初期モデルゆえの試行錯誤や、新境地を切り開く強い挑戦心が、当たり前だったG-SHOCKの定番要素・デザインすらもゼロベースで見直す、という方向に働いたのかもしれませんね。それが結果的に時を超えて、今でも大人が普通に使えるデザインだと感じられるのは興味深いところです。

普遍的なデザインだけに価値があると言いたいわけではありません、念のため。

厚いですね。でもダイバーズウォッチの感覚で使える範疇です

ただし厚さについては、実測で約15.5mm(裏蓋外周のカバーなし)とけっこうな厚みがあるので、自分は普通だと思い込んでいても、周囲には「何かが本格的な仕様の腕時計なのだろう」という印象を与え、ちょっと普通の範疇を超えるかもしれません。

もちろんそれは耐衝撃性能を実現するための厚みですが、幸いにして、“立派なダイバーズウォッチ”と同等のレベルに収まっています。実物を入手する前は、今これを腕に着けると「滑稽なほど分厚いのではないか?」と心配していましたが、そこまでではありませんでした。

私は過去に2000m防水の分厚いダイバーズウォッチを毎日着けていた時期もあったので、その経験・影響も大きいでしょうが、身に馴染んだ感覚です。実測の重量は、腕の細い私が使うコマの数でも147.6gと、しっかりとしたものです。

この状態で厚さは15.5mm、重量は147.6gでした

愛おしい佇まいの腕時計

「MRG-120」に限ったことではないですが、カシオのこの当時の広報用の製品写真はフラットなイメージで写っており、実物の印象とかなり異なります。

実物はケースにもベゼルにもしっかりとした立体感があり、“手作り感”とでもいうべき、独特な温かみのあるラインで構成されています。それは、無名の設計者の汗が滲んだ造形だとも感じられます。これはもう、現代のモデルでは手に入らない佇まいです。

今の「MR-G」が体現しようとする洗練さや美意識とはまた異なる「愛おしい」造形だと、そう言ってしまっていいと思います。考えた人・作った人の苦労、その息吹が感じられるのです。

「MRG-120」はおっかなびっくりで使い始めた部分もありましたが、3針ノンデイトやベゼルのシンプルさに感心するだけでなく、温もりすら感じるその造形にほっこりさせられていて、かなりお気に入りの腕時計になっています。

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