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二段ジャンプ : ゲームのキャラクターはなぜ空中でもう一度飛ぶのか。

砂
Oct 15, 20261 min read

きなんです。二段ジャンプ。そもそもなんで空中で飛べるのかわからない二段ジャンプ。二段ジャンプは喜び。できると分かったら全然やる必要がない場面でも無意味にやってしまいます。

それにしてもなぜ二段ジャンプなのでしょうか? より高い場所に乗ったり、より大きい穴を飛び越えられるようになる二段ジャンプはアクションゲームのプレイヤーには広く受け入れられています。そのためであれば、単純に距離の長い/高い一段ジャンプではいけないのでしょうか? この疑問を考えるために、まずは2Dアクションにおける「ジャンプ」というムーブが持つメカニクスについて考えてみます。

2Dアクションにおける「ジャンプ」

2Dアクションにおけるジャンプは、アクション空間を上方向に拡張するムーブです。ジャンプをすれば地上にいる敵にぶつかることはなくなり、高いところにいる敵に攻撃が当てられるようになるかもしれません。一方で上空にいる敵にぶつかるリスクが高まり、ジャンプをすることで生まれる隙に気を配らなければなりません。

ジャンプというムーブは、地球に住む我々が本能的・生理的に理解している解放感と制約を操作キャラにもたらします。すなわち「跳び上がると楽しい」という快感。そして「跳んだら落ちなければならない」「空中では自由に動けない」という制約です。ジャンプというムーブは「行った瞬間に2Dアクション上のリスクとリターンに対して非連続的な変化をもたらすムーブ」と言えるでしょう。例えばストリートファイターシリーズは、一部シリーズを除いて空中ではガードができません。地上と空中でリスクとリターンがガラリと変化する典型的な例でしょう。

飛びを通すか、対空で迎え撃つか。

二段ジャンプはかつて出すのが難しいアクションだった

二段ジャンプを初めてゲームに取り入れたのは、ドラゴンバスター[1985,アーケード]だと言われています。

ドラゴンバスターにおける二段ジャンプは、ジャンプした後、特定のタイミングでもう一度ジャンプ操作を行うことで発動するものでした。しかし実際にプレイしてみるとそのタイミングがなかなかシビアで、ある程度プレイして慣れるまでは安定して出すことができません。原初の二段ジャンプはそもそも出すのが難しい高難度のアクションだったのです。

ドラゴンバスターにおける二段ジャンプは、二段ジャンプからのみ繰り出せる下突きや、二段ジャンプでのみ乗れる足場に到達するために使います。この時点での二段ジャンプは、それそのものがプレイヤーの操作の習熟を実感させるものとして機能していました。それはある意味では正しく「出せるだけで嬉しい」類のムーブと言えるかもしれません。

空中制御システムの一形態としての二段ジャンプ

ジャンプというムーブが本質的に持つ「跳んだら落ちなければならない」「空中では自由に動けない」という制約は、アクション上の大きな不自由をもたらします。2Dアクションが発達する過程で二段ジャンプが取り入れられていった理由として、空中制御システムの一形態という側面は大きいでしょう。

多くのアクションではジャンプ中の左右移動に制限がかかり、上がって落ちるという動きを止めることはできません。二段ジャンプは、その状況に回数制限付きの介入の余地を与えます。分かりやすいのは魔界村シリーズで初めて二段ジャンプが取り入れられた超魔界村[1991,スーパーファミコン]でしょう。それまでの魔界村のアーサーは一度ジャンプしてしまうと着地まで全く軌道の調整ができません。そのため、着地点に敵がいればなすすべもなく当たってしまいます。

ところが超魔界村では、二段ジャンプによってジャンプ中に一回だけ軌道を変えることができます。プレイヤーはどのタイミングでどの方向に軌道を変えるかという判断を楽しむことができるようになりました。

二段ジャンプ相当のハイジャンプではこの面白さを生み出すことはできません。また、空中制御の類型であるスラスターでの空中制御にはない回数制限が、考える要素を減らし、程よいシンプルさに留めています。これは三段ジャンプではなくあくまで二段ジャンプが未だにスタンダードであることにも理由を与えます。プレイヤーの選択肢の幅として、二段ジャンプが生み出す広さが面白いと考えられているのでしょう。二段ジャンプの空中制御としての側面は、その後空中ダッシュなどのムーブに派生していきます。

Celeste[2018,PC]は空中ダッシュを駆使して高難度なアスレチックを攻略する。

ヨッシーアイランド[1995,スーパーファミコン]の踏ん張りジャンプは二段ジャンプの類型と言える。

駆け引きの一つとしての二段ジャンプ

空中制御の手段として二段ジャンプが利用されるようになった結果、二段ジャンプは対戦ゲームにおける駆け引きの材料の一つとして捉えられるようにもなりました。相手が空中にいて、こちらに落ちてくるのが予想されていたとしても、相手が二段ジャンプという手札を持ったままの場合は、いつ軌道を変えられてしまうかわかりません。翻せばこれは、二段ジャンプという手札を切ってしまってから地上に降りるまでの間は大きなリスクを背負ってしまうということでもあります。

出した後に二段ジャンプ不能になる技を乱発するのは危険。

二段ジャンプはなぜできるのか?

ところでなぜゲームのキャラクターは空中でもう一度ジャンプができるのでしょうか?彼らは一体何を蹴っているのか?

スーパーマリオワールド[1990,スーパーファミコン]では、マリオは乗っているヨッシーを踏み台にして乗り捨てることで二段ジャンプができます(ヨッシーは死ぬ)が、ほとんどのゲームにおいて二段ジャンプはなぜできるのか理由が説明されません。スマブラでは単なる森の事務員であるしずえですら空中でピョーンです。

それにも関わらずほとんどのプレイヤーはなんの抵抗もなく二段ジャンプというアクションを受け入れています。普段ゲームをしない人が空中でびゅんびゅんジャンプしているのを見たらずいぶん奇妙に感じるのでは無いでしょうか。

私はこの大ウソが大好きです。ゲーム的な楽しさのためにはあっさりと現実の都合を放り投げてしまう業。その意味では、ゲームのキャラクターは空中で現実を蹴って跳び上がっているのかもしれません。二段ジャンプは喜び。ジャンプという喜びでは飽き足らず、空中でもう一度飛ばせてくれるという望外の喜びです。逆に二段ジャンプができない現実の方がおかしくないですか?

終わり。

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